リレーエッセイ
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神河町シングルマザー移住支援事業総合アドバイザー 北岡 孝統

2018.09.22

神河町シングルマザー移住支援事業について その③

シングルマザーの起業をバックアップ

神河町のシングルマザー移住支援事業のユニークな点は他にもあります。その一つはシングルマザーの起業支援、つまり、シングルマザーが起業家として自分のビジネスを実現するのを支援していることです。

人の暮らしが成り立つための基本的な条件はいくつかありますが、その重要なものの一つに「経済基盤の安定」があります。特に、「時間的貧困と経済的貧困」に苦しめらているシングルマザーにとって、経済的自立は母子が暮らして行く上での最も大切な生活基盤の一つです。一般的にいって経済的自立のためにはどこかの会社や事業所などに勤務して給料をもらわなければなりません。これはシングルマザーに限らず社会で暮らしてい以上誰にでも必要なことです。そのため、多くの人々、特に若い人々は膨大な数の企業や事業所が集中する東京をはじめとした都市部に就業機会を求めてやって来ます。そして、職を見つけそこに定住することになります。大都会は時代の先端を行くファッションや食文化、先進的な教育プログラム、国際的なビジネスや活動などに満ち溢れていて、それだけ就業の機会も増えますし、都会に住んでいるというだけで何かしら自分自身が時代の最先端を生きているように感じます。

一方、地方にはそのように多くの企業群が集積しているわけではありません。そのため、都会ではなく地方での生活を選択しようと考えているシングルマザーにとってもそれほど多くの仕事があるわけではないし、選択できる職種にも限りがあります。シングルマザーの移住促進を進める神河町でも同じ悩みを抱えていて、シングルマザーにご紹介できる就業機会や選択可能な職種の確保に努力しています。神河町ではシングルマザー移住支援の一環として都市部企業の事務所や別会社の設立などの促進も同時に行っています「神河共同オフィス参加企業」にあげられているのは全てそのような会社です。

同時に、シングルマザー自身にも期待をしています。神河町に移住し、限られた範囲の職に就業しつつ、自分自身の会社を起こしてもらうことは将来神河町に新しい企業の集積が起こっていく起爆剤になると考えているからです。また、シングルマザー自身にとっても、自分の会社を持つということは、経済的な基盤の確保と同時に自分の夢やアイディアを実現していく手段を生涯にわたって確保することにもなります。ですから、神河町では単に職場の紹介にとどまらずシングルマザーの起業支援も行っています。

別の機会に詳しくお話しできると思いますが、起業のためにはいくつかの条件が必要です。お金も大切ですが、まずは、どのようなビジネスをしたいのか、あるいはどのようなビジネスをしようとしているのかというアイデア(Idea)が必要です。そして、そのアイデアを実現するためには3つのM、すなわち、お金(Money)、マーケット(Market)、経営・運営(Management)が大切になってきます。神河町のシングルマザー支援プログラムでは、”I”について必要に応じて開催する起業セミナーや研修プログラム、あるいは日常的な会話の中で、シングルマザーが起業の基本となる自分のアイデアを深化させていけるように様々なアドバイスを行っています。また、起業を支援するための「3つのM」も用意しています。起業に必要なお金についても兵庫県が実施している「女性のための起業支援」プログラムなどと連携しながら補助金の確保などの支援しています。マーケットや経営・運営に関するアドバイスも「神河共同オフィス参加企業」にあげられた企業の社長たちが懇切丁寧にしてくれています。実際、これらの企業の社長はみなさん雇われ社長ではなく、脱サラ組も含め、ご自分で会社を起こし成功している創業社長(流行りのアメリカ流に言えば”Founder & CEO”)ばかりです。

ですから、シングルマザー移住支援拠点施設は単に職場であるだけでなく、「起業のためのゆりかご」(Venture Cradle)でもあるのです。実際、神河町に移住して来てここで仕事をする女性たちや他の職場で仕事をしている女性たちは、みんな自分のビジネスの夢を育てながらいつの日かそれを実現させるべく毎日を暮らしています。そして、神河町や周りの企業人たちもみんながその夢の実現を支援しています。

「いつの日か自分の会社を」そしてその夢の支援こそが神河町のシングルマザー移住支援プログラムの特色の一つです。

人こそが成功の鍵

最後に、もう一つ大切な特色があります。それは「人」です。この事業は以前にもお話ししたように、日本全国でも初めてのシングルマザーのための移住支援事業で、その推進の中心になっているのは神河町です。ここでいう神河町というのは場所の名前ではなく、神河町役場という山名町長をトップとする行政組織を意味します。そして、このプログラムを実際に行っているのは「ひと・まち・みらい課」という担当課で、実務の責任者は石橋課長補佐という人です。

行政組織(国でも都道府県でも市町でも)が新しいプログラムを開始し、推進し、成功するためにはいくつかの条件が必要です。例えば、その組織のトップ(町役場なら町長)がその事業を承認し、議会が賛同し、その担当組織のトップ(部長や課長など)がその事業の実現を本気でめざしていなければなりません。でも、それだけでは事業の成功は難しいのです。何より必要なのは、その事業の実現に必死になって取り組んでいる実務担当者がいることです。組織や担当組織のトップは指揮し、監督する立場にあります。野球やアメフト、ラグビーやサッカーで言えば、球団やチームのオーナーや監督、コーチのようなものです。でも、いくらこのような人々が頑張って、チームの経済的、あるいは練習や人的な条件を整えても、選手の一人ひとりが必死で頑張らなければ試合に勝つことはできません。役所での実務担当者というのはそのチームのキャプテンであり選手です。もし、有能な実務担当者がいなければその事業の実現は難しいと言わざるをえません。まして、日本で初めて実施してるシングルマザー支援プログラムですから前例がありません。つまり、必勝パターンはないのです。選手(実部担当者)の情熱と知恵と努力と持久力だけが頼りなのです。

神河町の実務担当者にはこの全てが備わっています。土日や祝祭日などにもシングルマザー支援のために必要であれば終日出勤し、様々なプログラムを実施するのはあたりまえとしても、シングルマザーが残業で時間内に保育所から子供を引き取れなければ、自分が迎えに行ってシングルマザーの仕事が終わるまで自分の家で面倒をみようという人がチームリーダなのです。そして、このチームには同じように頑張っているチームメンバーたちがいます。それぞれのメンバーは町内の色々な人とネットワークを持ち、シングルマザーの支援を行っています。そして、町外には神河共同オフィス参加企業やシングルマザー移住支援アドバイザーなどのメンバーを通じ広いネットワークがあります。そのネットワークは海外にまで及んでいます。

都会での生活のかたわら、特にいまは移住を考えているわけでなくても、一度神河町においでになって、町のたたずまいや美しい自然、そして何よりもシングルマザーを支援する人々にお会いになってみませんか。そのようなご希望があれば、いつでもお気軽にご相談ください。

(連絡先)
 このサイトのお問い合わせページからメールを送ってくださるか、直接電話(0790−33−9500)でご連絡ください。お待ちしています。

北岡 孝統(きたおか たかのり)
1948年2月24日生まれ

北岡 孝統
学  歴:
関西学院大学(国際経済学)学士
神戸大学(数理経済学)学士
ワシントン州立エバーグリーン大学公共政策研究科(MPA)(修士)
ハーバード大学イェンチン研究所客員研究員(日米における行政の比較研究)
職  歴:
兵庫県庁(1971年入庁)
知事公室外務課、商工労働部商業貿易課、知事公室秘書課(坂井時忠知事秘書)、企画部企画参事(兵庫県総合計画・水資源計画及びエネルギービジョン担当)等を歴任
渇水対策本部渇水対策課長(1994年発生)
阪神・淡路大震災復興対策本部復興計画課長(1995年発生)
兵庫県米国ワシントン州事務所(兵庫県経済文化センター)所長として渡米(1998年〜2013年)
関西国際大学グローバル教育推進機構教授(グローバル教育センター長)(2014年〜2017年)
現  在:
オルタナティブス研究所代表
シングルマザー移住支援事業総合アドバイザー(兵庫県神河町)

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