リレーエッセイ
002
神河町シングルマザー移住支援事業総合アドバイザー 北岡 孝統

2018.07.20

神河町シングルマザー移住支援事業について その②

日本全国でシングルマザー(あるいはシングルファーザーも含めてひとり親)移住支援事業というのは、まだ国内でも珍しい取り組みです。にかよった事業を実施している地方の市町村は、神河町以外に、北海道幌加内(ほろかない)町(ちょう)、徳島県美馬(みま)市(し)、群馬県上野(うえの)村(むら)、島根県浜田(はまだ)市(し)、長野県須坂(すざか)市(し)などで、まだまだ多くはありません。

各市町村ともシングルマザーの移住を支援するプログラムを持っていますが、神河町の特色を少し説明したいと思います。

シングルマザーが働く共同事務所

シングルマザーと子どもが神河町で新しい生活をスタートするためにはいくつかの条件が必要ですが、その第一はなんと言っても仕事だと思います。神河町にある企業や福祉法人、団体や個人商店などだけでは他の地域から神河町にやって来るシングルマザーに対して十分に仕事を提供することができません。また、シングルマザーの場合は、子育ての関係もあって時には職場に出かけていくことが出来ないこともあります。このような人たちの仕事を確保するために、まず、神河町で開始したのが自宅での勤務も可能な職種の企業を新たに誘致して、優先的にシングルマザーを雇用してもらうことでした。当初からビジネスアドバイザーとして様々な形で協力をいただいている企業を中心に、本社が神河町に移転するのは無理ですが、事務所を神河町に設けてもらいシングルマザーを雇用していただくようにお願いした結果、現在では、5業種5社が共同で事務所を開設しています。この共同事務所は正式には「シングルマザー移住支援拠点施設」と言いますが、仲間内では神河町のキャラクターである「カーミン」の名とともに「カーミンハウス」と呼んでいます。

この共同事務所は神河町がこの事業のために設立した「シングルマザー移住支援協議会」の事務局が管理していて、5つの企業が事務所や本社をおいています。それぞれの企業をご紹介するとヴォックス(本社は香川県観音寺市にある_Web・デザイン関係の会社)、空撮技研(同じく観音寺市に本社を置くドローンの操作研修・販売会社)、征和建設(兵庫県姫路市に本社を置く建設会社で、ドローンによる測量・解析やドローンスクールを経営している)、東洋メディアサービス(本社は大阪市の御堂筋にあるが、この事業への参加を契機に別会社としてハートストリームエンタテイメント本社を神河町に設立し、映像編集・取材などを手がけている)、そしてムーブ/ドゥエル(神戸市のポートアイランドに本社を置くロボットプログラミングの会社でペッパーを活用したビジネスや医療関連支援などを行なっている)の5社です。

在宅可能な企業群

名前をご覧いただいただけでは分かりにくいかも知れませんが、これらの企業はすべてネットで仕事ができる業種です。例えば、空撮技研では経理や総務関係の事務はこの共同事務所で新たに雇用されたシングルマザーが処理しています。また、この共同事務所を管理する「シングルマザー移住支援協議会」職員もシングルマザーですし、ハートストリームエンタテイメントでもシングルマザーを雇用してハートストリームエンタテイメントと親会社との連絡や映像処理などを遠隔でやりとりしています。このようなビジネススタイルは本社や関連会社が世界中のどこにあっても仕事はできますし、むしろ時差を活用することで作業の効率を増すことも可能です。その好例はコールセンターでアメリカのマイクロソフト本社では10年以上も前からインドに英語によるコールセンターを置いていますし、現在では多くの日本企業がベトナムにコールセンターを置いています。近い将来、神河町にもコールセンターができるかも知れません。

子どもも一緒の事務所環境

昔、と言ってもそれほど遠い昔ではない昭和40年代頃までは、農村では田んぼや畑仕事をしている親のそばの畦道で水辺のミズスマシやゲンゴロウ、あるいはタニシをつついているこどもの姿を見ることがありました。あるいは、ハイハイもできないような赤ちゃんが竹かごの中にちょこんと座っていることもありました。親が家から離れて田んぼや畑で仕事をする際には、子どもも親と一緒に野良に来て遊んでいたのです。野良は農家にとっては職場で、子どもも一緒に職場にきていました。これも昭和の風景としてよく見かけられたことですが、町の小さな工場(こうば)や小さな事務所でもその町(まち)工場(こうば)や会社の子どもが職場に来て職人さんや事務員の人たちに見守れながら遊んでいることがよくありました。子どもが親と一緒にいることができるこのような職場は、会社という日常の家族との生活空間と切り離された場所での仕事が中心になるとなくなりました。

でも、考えてみれば、子どもが親と一緒に職場で過ごすことがあっても悪くはありません。神河町の「カーミンハウス」ではシングルマザーの人たちが子ども連れで働ける環境を整えています。

この共同事務所の事務スペースの隣にはフローリングをした広い部屋と同じ広さの和室があります。この二つの部屋は会議や集会などにも使えるのですが、本来の目的は子どもの遊戯や勉強、昼寝などのための子どもの場所です。今のところ「カーミンハウス」で仕事をしているシングルマザーの子どもは小学生以上ですから、まだ、この隣の部屋を使う必要はないのですが、もし、必要ならいつでも子どもを連れて事務所に来ることができます。もし、その子の親が打ち合わせなどで出かけなければならない時は、事務所に残って仕事をしている他のシングルマザーがその子の面倒を見ることになっています。

今回はシングルマザーが働く共同事務所についてお話ししましたが、次回は別の視点からの神河町のユニークさをお話しします。

北岡 孝統(きたおか たかのり)
1948年2月24日生まれ

北岡 孝統
学  歴:
関西学院大学(国際経済学)学士
神戸大学(数理経済学)学士
ワシントン州立エバーグリーン大学公共政策研究科(MPA)(修士)
ハーバード大学イェンチン研究所客員研究員(日米における行政の比較研究)
職  歴:
兵庫県庁(1971年入庁)
知事公室外務課、商工労働部商業貿易課、知事公室秘書課(坂井時忠知事秘書)、企画部企画参事(兵庫県総合計画・水資源計画及びエネルギービジョン担当)等を歴任
渇水対策本部渇水対策課長(1994年発生)
阪神・淡路大震災復興対策本部復興計画課長(1995年発生)
兵庫県米国ワシントン州事務所(兵庫県経済文化センター)所長として渡米(1998年〜2013年)
関西国際大学グローバル教育推進機構教授(グローバル教育センター長)(2014年〜2017年)
現  在:
オルタナティブス研究所代表
シングルマザー移住支援事業総合アドバイザー(兵庫県神河町)

育てる
町内の学校紹介
特色のある教育
進学の選択肢
働く
神河共同オフィス
参加企業
募集状況
暮らす
生活環境
地域の行事
共励会の紹介
楽しむ
食べる
遊ぶ
散策
イクドウボ楽とは
トピックス
リレーエッセイ
お問い合わせ
プライバシーポリシー
このサイトについて
サイトマップ
[ 企画・運営 ]
シングルマザー移住支援拠点施設 神河共同オフィス 〒679-2424 兵庫県神崎郡神河町柏尾471-3 喫茶ファミリー2階 TEL 0790-33-9500 FAX 0790-33-9488